破天荒フェニックス - 田中修治

「破天荒フェニックス」の解説と要約&あらすじ・内容の説明と感想レビュー

「破天荒フェニックス」は2018年に初版発行され、2020年にはテレビ朝日でドラマ化されています。 著者はメガネ販売店「オンデーズ」の社長である田中修治さん。

テレビでドラマ化されている、という事実だけでも「面白い本」であるという事は伝わると思います。 私も仕事から帰ってきて夜に読み始めて、それから止まらなくなって一気読みして、気付いたら朝になっていました。

アマゾンの売れ筋ランキングでは企業部門で第1位を獲得。日本文学部門でも第1位を獲得しています。 ホリエモン、キンコン西野、村上龍らが大絶賛した注目のヒット本です。

オンデーズの田中社長は時々、テレビやネット番組の討論会などでも見掛けるのでご存知の方も多いと思います。 黒のジャケット、黒のインナー、黒のパンツで全身「黒」でキメた服装が特徴でもあります。

破天荒フェニックスの紹介にあたり

基本的に当サイトでは、ある程度の内容を「説明できる本」「解説できる本」だけに的を絞って紹介しています。 しかしこの「破天荒フェニックス」は書評レビューできるような内容の本ではありません。

内容を要約して何らかの「学び」を得る本というよりは「ストーリー」を楽しむ本なので、 内容を要約してしまうと単なる「ネタバレ」になってしまうだけなので本の良さが伝わりません。

何故わざわざ書評レビューが出来ない本をこうして紹介しているかと言うと、単純に面白い本だったからです。 今回は「本の内容を知ってもらいたい」のではなく「本を手に取って読んでもらいたい」という思いでこの文章を打っています。

「会社の再生」に焦点を当てた本なので、時々ビジネス用語が本の中にも出てきますので、 ほんの少しだけ小難しい部分はありますが、それを差し引いても面白い内容に仕上がっています。

「会社経営」とか「事業展開」のお話がメインなので学生さんよりも社会人や、サラリーマン、 ビジネスマンなどの方が楽しく読めるんじゃないかと思います。

破天荒フェニックスの内容

銀行内でのドロドロを描いたドラマが「半沢直樹」であるならば、それのメガネ版が「破天荒フェニックス」です。(違うか)

破天荒フェニックスは、負債14億円を抱えた瀕死状態のメガネ店「オンデーズ」を買収する所からストーリーが始まり、 毎月、ギリギリの経営を続けながらオンデーズの再生に奔走する田中社長のお話です。

読めば読むほどに「こんなドラマみたいな話が実際にあるのか!」と感じざるを得ない内容です。 ※本中に登場するライバル企業の「ジェイムズ(=JINS)」と、「ZAPP(=Zoff)」など、一部の固有名詞は架空のものですがストーリー自体はほぼ実話でしょう。

本の「あとがき」の部分では、

起こった事実を基にしながらも1つのフィクション、パラレルワールドの物語として勝手気ままに書き連ねたもの

と表現されていました。

そして、一般的な書籍は大体ページ数が200~250ページ程のものが多いと思いますが、こちらの破天荒フェニックスは500ページもあります。 本2冊分ほどもあり、とても読みごたえがありました。

破天荒フェニックスの魅力

絶体絶命の危機的状況を首の皮一枚なんとか残して難を逃れる。苦労した末、好調に向かおうとした矢先にさらなる困難が立ちはだかる。 毎度、そんな感じで一筋縄にはいかない会社経営が読み手の心を惹きつけます。

他人事なので気軽に読んでいられますが、もし自分が田中社長の立場だったら目の前の現実から逃げ出してしまいたくなるような状況が何度も訪れます。 しかし、それと同時に「仕事に必死になって打ち込んでいる姿」というのは羨ましく感じる部分でもあるのは事実です。

倒産や資金ショートといった危機に見舞われると、奇策とも言える経営戦略でギリギリの死の淵から何度も不死鳥のごとく蘇るサマはまさに 「破天荒フェニックス」です。秀逸な本のタイトルだと思います。

田中社長が苦難を乗り越えていくストーリーがこの本の魅力ですが、周りを取り巻く登場人物たちがまた魅力的なんです。 右腕の奥野さん、男気あふれる高橋部長、手を差し伸べてくれる藤田社長。皆さんとても魅力的です。

さらなる深掘り

オンデーズの田中社長への実際に行われたインタビューとして 「何故、泥船に乗ったかに見えた田中さんは、沈まずに不死鳥のごとく空を羽ばたく事ができたんですか?」という質問に対して、

ピンチは最大のチャンスだ!っていう社長さん、いるじゃないですか。僕はそんなの嘘だと思っています。 ピンチはピンチ!それ以外の何物でもない。

だから、ピンチに追い込まれている自分の状況をとことん理解して、そこから抜け出す手段を、脂汗を流すぐらい考える。 それしかないんです。

リアリストにしか経営なんて、できないと思いますけど

そりゃあ、失敗した場合のシュミレーションもしましたよ。 債権者が訪れて、財産差し押さえられて、銀行のブラックリストに載って、クレジットカード作れなくなるなぁ、って。

でも怖いとは思わなかった。「怖い」の本質って何だと思いますか?「怖い」はつまり、「分からない」って事なんですよ。 僕は、分からない事がなくなるまで考えるのでね、怖いと思ったことはないです。

このように答えています。幾度となくピンチを乗り越えてきた田中社長の言葉は、格好つけた 「キレイごと」を言うわけもでもなく、とても重みが感じられます。

この破天荒フェニックスは「オンデーズのファンを増やす」というPR目的の為に書かれた本だそうです。 私は視力が良い方なのでメガネは必要ないのですが、視力が落ちたらオンデーズでメガネを作ろうと思いました。

いや、この本を読んでしまうと、もうオンデーズで買う以外の選択肢が考えられなくなってしまいます。

まんまとオンデーズのファンになってしまい、私も田中社長の策略にハマってしまいました。 それではまた次回の書籍レビューでお会いしましょう。 最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。